ハリウッドの弱体化が報じられる昨今ではあるが、例えばドラマなどのクオリティを見ると、制作に関する基礎体力の日米差はいまだ大きい。
日本では芸術系の大学か専門学校が主体となるこれらの分野が、四年制総合大学で学べるというのもアメリカの強みだ。
日本のテレビ局や映画制作会社に就職する卒業生も出るなど、もともと狭き門の業界であることを考えれば、進路としての確実性は意外に高い。
世界のショービジネスのトップに立つアメリカでは、様々なジャンルの才能を総合大学の正規学部コースで育てている。ハリウッド映画や、テレビ界での活躍をめざす人たちも、大学で学び、学位を得て業界に羽ばたいていく。それは、国を代表する文化であるエンターテインメントで一流の人材は、それにふさわしい教養と知識をもち、社会人としても一流でなければならないと認められているからだ。この理念があればこそ、アメリカのエンターテインメントが常に世界をリードしてきたと言えるだろう。
大学では、それぞれの専門において、理論と実技の両面で膨大な時間数の水準の高い授業が展開されるが、それに並ぶほどの一般教養や実学の学びも求められる。業界の実務やインターンシップを含むコースでは、ビジネス面から映画・テレビ等の業界を学ぶ。だからこそ卒業して手にする学位は、専門分野でプロの実力をもつことと、幅広い職業に対応できる大人であることとを同時に証明しているのである。
世界をリードするアメリカで好きな分野を力一杯学ぶことで、その分野の一流のプロフェッショナルに成長するのみならず、どんな分野でも通用する能力と人間力を身に付ける。これがアメリカの大学で学ぶ最大の意義だろう。
学びの枠にとらわれないアメリカの大学では、さらに幅広い学びも選択可能だ。 一流の映画・映像を学びながら、音楽や舞台芸術のような関連分野はもちろん、ビジネス学やマスコミ学、コンピュータ学、生物学など、他の専門分野で将来を拓く専門的な学問追究に取り組めるばかりか、力量や目標の変化に応じて、自分にふさわしい大学へ転学して学び続けることもできる。
ハリウッドとブロードウェイを頂点に、映画、ミュージカル、ダンス、演劇とあらゆるエンターテイメントアートにおいてアメリカが世界のトップに君臨している事実は誰もが認めるところ。こうした産業としてのエンターテインメントアートの成功を受け、その産業で働くプロフェッショナル人材を育成する場が大学に備えられることによって、アメリカのショービジネスの優位はますます揺るぎないものとなっている。
日本にも映画演劇系の教育の場が育ちつつあるが、その専門性の高さ、関連分野の広がり、さらに教育規模とも、アメリカの足下にも及ばないのが現状だ。
アメリカで映画・映像・舞台芸術を学ぶことは、最先端の理論と技術を学ぶことに加え、グローバルな環境の中で、日本人としての感性を自覚しながら、世界に通用する表現に挑戦するという大きな意義をもっている。
ショービジネス・産業界と大学の映画・舞台芸術教育との密接な関係が、授業を活気づけている。実践的な技術を教える教授の多くは、ハリウッドをはじめ制作現場で豊富な経験をもつプロフェッショナル。実際の作品の制作課程を分析するのはもちろん、学生たちが授業で制作する作品ひとつひとつに具体的なアドバイスを行い、より効果をあげる実践的手法を伝授してくれる。
こうした作品の制作と発表は、学内のホールやスタジオ、そして放送局を通じて行われることが多い。大学の施設とはいえ、本格的な設備を整え、学内だけでなく地域全体に発信しているから、視聴者からの反応も実感できる。近年はインターネットを通じての配信を行う学内放送局も増えてきたので、世界中からの評価を受ける機会もあるだろう。
さらに、プロの映画やTV番組制作現場で仕事に携わることができるインターンシップは、夢のような経験だ。超一流の人たちの仕事は魔法のようだと言うが,その魔法を目の前で体感できる瞬間に、アメリカで学ぶ喜びはこれ以上なく高まるだろう。
映画・映像・舞台芸術を学ぶ者には、高い語学力とコミュニケーション能力が求められる。これは、他人の脚本の解釈や、自らのオリジナルの執筆に必要なばかりでなく、作品の制作段階で細かいニュアンスを含むイメージの伝達、重要な指示のやりとりといったコミュニケーションにも、適切な言葉の扱いと行間を読む感性とが欠かせないからだ。このような理由から、例えば映画学の専攻には、他の科目より厳しい審査が行われる大学もある。
留学生にとってはハンディに思われるコミュニケーション能力だが、英語学やコミュニケーション学の授業で積極的に鍛えることも可能だ。留学後初めのうちはこのような科目を中心に履修し、力がついたところから映画学・舞台芸術学専攻に移行する道もある。常に高い意識を持って英語を話すことが、自分の可能性を大きく広げてくれるのだ。
映画・映像を仕事にすると一言で言っても、さまざまな専門に分業されていることはご存知だろう。演技する俳優、演出する監督はもちろん、脚本、装置(美術)、音声、照明、衣装、メイクアップ、特殊効果など、数多くの人が共同作業で作品を作っている。さらに作品に関わる人や資金などすべてを総括する制作者を筆頭に、興行を行う配給・プロモーター、広告宣伝担当といった組織を含めると、まさに一大産業を支える無数の部門担当者が一つの作品を作り上げていることがわかるだろう。
アメリカの映画学部には、このような部門ごとの専門家を育てるコースが揃っている。例えば照明技術で、あるいは特殊メイクで学位をとる、という学びが可能なのだ。だが、もちろん他の分野の仕事もわかっていてこそ、よりよい作品制作に貢献できる。さまざまな分野を横断して学びながら、自分の専門に特化していくのが、学びの基本と考えてよいだろう。
最高水準のプロをめざして学ぶ
世界の映画産業の中心がアメリカであることは、誰もが認めるところである。その映画界を支える人材を輩出しているのが米国大の映画学部だ。世界中から映画を志す有能な学生が集まってくるので、競争が非常に厳しい。特に文学、哲学、心理学といったリベラルアーツ(一般教養)の学力についてはかなり高い水準が求められる。
しかも教授陣の大半はハリウッドで実際に映画制作に携わってきたプロであり、学生に対しても将来の映画人としての厳しさを要求している。したがって、映画が少し好きだから映画学部へでも行ってみようといった軽い気持ちではとても歯が立たないだろう。
映画学部には、プロデュース、演出、脚本、撮影・照明技術、編集、メイクアップ、VFXなど多岐にわたる講座が用意されている。他にも制作のバックグラウンドとなる教養科目やコンピュータ技術を学ぶことも重要だ。
テレビ局でプロ同様の実践経験を積める
テレビ・ラジオ学を専攻する学生は、番組の企画、制作の方法論のほか、プロのディレクター、プロデューサーとして活躍するために必要な知識、技術を習得する。
学生は、まず、基本的な番組台本の作成方法などを履修した後、放送の歴史、メディア論・メディア批評、放送ジャーナリズム、スタジオオペレーション、番組制作論、編集理論などのクラスで学んでいく。
大学がテレビスタジオや編集室などを所有しており、実際のプロと同様の放送機材を使用して、実習ができるという恵まれた環境が用意されている。また、実際に大学の周辺地域に放送されているため、遊びのレベルではなく実践的にトレーニングが行えるのが強みだ。
卒業後は放送局への就職が典型的な進路だが、そこで英語力や国際文化への知識などを評価されて、国際的な取材や制作に携わるチャンスを得ることも期待できる。
映画スタジオでのインターンで実際の映画制作も経験
ハリウッドにほど近いロングビーチ校は、映画界を代表するスティーブン・スピルバーグ監督の母校だ。彼が成功の礎を築いたロングビーチ校の映画学(Film & Electronic Arts)専攻は、映画の他、テレビやビデオの制作の講座も充実しており、修士課程を含めて70近いコースを揃えている。講師陣には、ハリウッドや全米テレビネットワークで活躍するプロたちが名を連ね、最先端の映画制作を教授している。
映画学の専攻は人気が高く、まず教養科目の履修で高い成績をあげることが求められる。晴れて映画学専攻となると、理論や技法の研究を行う授業から、脚本から監督・撮影、編集などを実際に行う段階へ進む。
学内の実践演習設備も充実している。例えば、特殊効果のための最新のコンピュータを備えた編集機材を揃えたスタジオでは、商業映画の制作を意識しながら、実践的な作品づくりを学ぶことができるのだ。
この他、学内テレビ局などの施設を使った演習も充実してるが、ハリウッドの映画スタジオやテレビ局などでインターンシップを経験し、「本物」を学ぶ実感を味わえるのは、何よりの魅力だろう。
いっぽう、舞台芸術学の専攻も非常に高い評価を誇っている。ここでは、演技・演出や舞台技術を幅広い選択科目とともに学ぶ教養系学位(BA)に加え、一つ一つの分野を専門的に学ぶ芸術系学位(BFA)のコースを備え、卒業後即座に劇場人として活躍できる人材を育成している。
映画・映像制作のトップクラス大学
カリフォルニア州立大学グループの中で、映画学(Cinema)でひときわ高い評価を受け、西海岸トップ3に名を連ねているのがサンフランシスコ州立大学だ。2000年には、エンタテインメント業界紙の全米映画学トップ12大学のひとつに選出されている。
ニューシネマムーブメントの高まった1960年代に創設以来、テレビとは別個の映画独自の表現を追究し、映画界で活躍する人材を送り出してきた。卒業生は脚本・音響など各部門でアカデミー賞を得ているほか、『タイタニック』『ロード・オブ・ザ・リング』をはじめとする大ヒット作品のスタッフに名を連ねている。
学内には、映画スタジオ並の大型室内スタジオとポストプロダクション設備を備え,近年はデジタル制作に対応する機材の配備を進めてきた。学生は最新の機材を実際に使って、劇場配給も可能なクオリティの作品制作を学んでいる。学生の撮影クルーが学内外でロケ撮影を行っているのに出会うことも少なくない。
学部課程での映画学の講座数は約90、大学院と合わせると実に180近くの専門講座が開講され、映画理論の基礎から過去の作品の分析、演技、演出、脚本、照明、音響、カメラ、衣装などそれぞれの分野の技法と実践、そして実際の作品制作に至るまでを徹底的に学ぶことができる。コンピュータグラフィックの技法を含めたアニメーションのコースも注目だ。
豊富な芸術系の専攻から幅広い選択が可能
テキサス州都ダラス近郊都市デントンにキャンパスを持つ実力派大学ノーステキサス大学は、特に芸術系の学部の専門性・水準の高さで名高い。音楽・ビジュアルアーツの分野と並んで、映画・映像部門や演劇部門でも充実したコースを展開している。ラジオ・テレビ・映画学はその中核となる専攻で、学内外に開かれた活動を通じて、プロに比肩する実践経験を重ねることができる。教授陣には、テレビ・映画界や舞台のプロとして活躍して数々の受賞歴を持つ著名人も名を連ね、大学内の設備も目を見張るほどだ。
ラジオ・テレビ・映画学は、ジャーナリズムメディアの機能や、演劇とは異なる映像メディアならではの脚本制作や演技、さらに映画とテレビそれぞれの特性に応じた映像演出の技法など、専門性の高い科目を揃える一方で、放送局の運営や、番組編成などのビジネス面の講座も設置されている。こうした授業の成果をもとに実践経験を積む場として、大学発信のケーブルテレビ局でプロ並の番組制作を学ぶほか、ダラスフォートワース地域のメディア企業でのインターンシッププログラムにも参加できる。
説明会名 | 日 時 | 会 場 | |
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NCN米国大学機構の日本人受入制度は、今年で34年目を迎えるアメリカの大学自身が運営に参加する米国大学進学・留学のためのプログラムです。
これまで7,400名以上がアメリカの大学に進学・留学し、その大多数を占める正規学部生として入学した学生は、95%が卒業し、社会の第一線で活躍しています。