国際的な医師を目指したい、それもできればアメリカで先端医療を学びたいという高い希望を持っている学生の皆さんに向けて医学と、その他の医療系専攻について触れていきます。
※看護学については後日別途記事を制作する予定です。
狭き門だが道はある
まず最初に言っておかなければならないのは、アメリカで留学生が医師免許を取得するのは、ある意味で日本の大学の医学部合格よりハードルが高いということです。
アメリカでは大学院で医学を学びますが(後述)、そもそも留学生が入学できる医学大学院はごくわずかだからです。医学教育にはとても費用がかかり、多くの税金を投入しているため、特に州立大学では州民を中心に受け入れ、残念ながら留学生にはほぼ門戸は開かれていません。また、米国籍保持者であってもその州の居住者(=州税の納税者)でなければ応募できない場合がほとんどです。私立大学はこの限りではないものの、その代わり費用的に非常に高額になるのは日本と同様です。
しかし、チャンスが無いわけではありません。
NCNの受入大学では、ネブラスカ大学リンカーン校/オマハ校/カーニー校の3大学が医学大学院(UNMC=University of Nebraska Medical Center)への入学のチャンスがあり、それぞれの大学の卒業者に限り留学生でも医学大学院への応募が可能となっています。
従って、例えば日本の大学や他のアメリカの大学からUNMCを直接受験することはできませんが、高校生の直接進学はもちろん、日本の大学からこれらの大学に編入して医学大学院を目指すことはできます。
無論、大学院にも入学審査がありますので必ず進学できるとは限らず、努力と学力次第であるのは当然です。ある意味、アメリカ人を押し退けて入学することになりますから、それだけの抜きん出た実力が求められます。少なくとも日本の医学部に合格できるくらいの学力に加えて高い英語力も必要です。
ただし、医師免許に強いこだわりが無ければ、医学以外の医療系の資格に挑戦したり、留学生でも研究者として医学に通じる研究に携わることはできますから、医学大学院に合格できれば最高として、セカンドベストも視野に入れながらまずは挑戦してみるという方向性もあるでしょう。
※UNMCは直接の受入大学ではありませんが、オマハ校、カーニー校に併設されていますので進学後も本機構によるサポートは継続可能です。
詳しくは進学説明会へ
米国大学や日本人学生受入制度の進学説明会を東京・大阪・オンラインで実施しております。ご参加、ご相談は無料です。
アメリカで医学を学ぶ意義
アメリカの大学で医学を学ぶ意義についてまとめてみましょう。
- 国際的な医学知識の獲得
アメリカの医学大学院では、世界的な最新の医学知識や技術に触れることができます。国際的な視点を取り入れた教育体制が整っており、これによりグローバルな視野を持つ医師としてのスキルが向上します。 - 臨床実習の機会
アメリカの医学大学院では、豊富な臨床実習の機会が提供されます。患者との直接の接触や症例研究を通じて、実践的な医学のスキルを磨くことができます。 - 国際的な医療環境での経験
アメリカは多様な人種や文化が共存する国であり、医学大学院での学びを通じて異なるバックグラウンドや言語環境に対応するスキルが向上します。これは将来的に国際的な医療環境で働く際に大いに役立ちます。 - 医療技術と研究の最先端へのアクセス
アメリカは医療技術や医学研究の分野で世界をリードしています。医学大学院で学ぶことで、最新の医療技術や研究成果に触れ、これに基づいた臨床実践が可能となります。 - 英語力の向上
医学の専門用語は英語が基本となります。アメリカの医学大学院で学ぶことで、専門的な英語スキルが向上し、将来的に国際的な医療コミュニケーションや論文の読解が容易になります。 - 国際的なネットワークの構築
アメリカでの医学大学院の経験は、国際的な人的ネットワークを構築する重要な機会です。同じ医学校で学んだ同窓生や、国際的な学会・研究機関とのつながりが将来のキャリアにおいて有益となります。
もちろんこれらは、医学以外の医療分野にも共通して通用する意義と言えるでしょう。
医師になるためのステップ
学士号の取得(4年制大学)
大学での4年間の学士課程を修了します。生物学、化学、物理学、数学などの自然科学分野を専攻することが一般的です。大学では医学大学院進学に向けて専攻とは別に進学準備コースに登録し、各種アドバイスを受けることができますので、大学の先生方やアカデミックアドバイザーと相談しながら進学対策準備を進めていきます。
医学大学院入学試験 (MCAT) の受験
医学大学院入学試験(MCAT)は、医学校に入学するための基本的な要件の一つです。生物学、化学、物理学、心理学の科目に関する知識と解析能力が問われます。
医学大学院(4年)
医学大学院に入学するためには、MCATのスコアや学業成績が重要です。また、エッセイや推薦状、面接も評価されます。医学校は一般的に4年制で、最初の2年は基礎的な医学の教育を受け、後の2年は臨床実習が主体です。
医学大学院のカリキュラムを修了すると、医学の博士号(Doctor of MedicineまたはMD)を取得します。これには臨床実習や患者ケアに関する経験も含まれます。
USMLE合格
アメリカ医師国家試験(USMLE)は、医師になるためのステップ試験で、ステップ1、ステップ2(Clinical KnowledgeおよびClinical Skills)、ステップ3から成り立っています。医学大学院卒業後、これらの試験を受験して合格する必要があります。
臨床研修 (Residency) の受講(3~7年)
医学大学院卒業後、医師は専門分野での臨床研修プログラム(Residency)に参加します。これは、実地での患者ケアと診断のスキルを磨くためのもので、期間は一般的に3年から7年間まで異なります。
医師免許取得
Residencyプログラムを完了し、州の医療委員会の要件を満たすと、医師免許を取得できます。各州の要件は異なりますが、通常はUSMLE合格、Residencyプログラム修了、必要な文書の提出などが含まれます。
専門医認定 (Optional)
必要に応じて、医師は専門医として認定を受けることができます。これには各専門医認定機関が定める追加の要件や試験が必要です。認定はオプションであり、一部の医師は専門医にならずに一般診療医として活動することもあります。
一般的には、臨床研修以降は給与を受けつつの研修となりますのですべて自己負担ではありませんし、他の専攻と比べて極端に授業料が高いわけではありませんので、日本の大学の医学部に比べれば総じて経済的な学費です。
その他の医療系コース
医学・医師免許に限らずとも、アメリカには医療系の専攻分野も数多くあります。
例えばネブラスカ大学カーニー校(UNK)+UNMCでは、以下のコースを開講しています。
医学に比べれば比較的門戸は広いものの、成績や英語力など求められるレベルが高いのは医学と同様ですから、短絡的に「医学以外は楽」と思わないようにしましょう。
UNK+UNMC (Kearney)で学べる医療系専攻
コース名称 | 日本語訳* | UNK(年) | UNMC(年) |
---|---|---|---|
Pre-Cardiovascular Perfusion | 心血管灌流 | 4 | 2 |
Pre-Chiropractic | カイロプラクティック | 3~4 | 4 |
Pre-Medical Laboratory Science | 臨床検査科学 | 3 | 1 |
Pre-Dentistry | 歯科 | 4 | 4 |
Pre-Dental Hygiene | 歯科衛生 | 2 | 2 |
Pre-Dietetics | 栄養学 | 4 | 2 |
Pre-Health Information Management | 健康情報管理 | 2~3 | 1~2 |
Pre-Medical | 医学 | 4 | 4 |
Pre-Mortuary Science | 死体科学 | 2 | 2 |
Pre-Nursing | 看護学 | 2 | 2 |
Pre-Occupational Therapy | 作業療法 | 4 | 2~3 |
Pre-Optometry | 眼科 | 3~4 | 4 |
Pre-Pharmacy | 薬学 | 2~3 | 4 |
Pre-Physical Therapy | 理学療法 | 4 | 3 |
Pre-Physician Assistant | 医師アシスタント | 4 | 2.5 |
Pre-Podiatry | 足病学 | 3~4 | 4 |
Pre-Public Health | 公衆衛生 | 3~4 | 2 |
Pre-Radiologic Technology | 放射線治療 | 2 | 2 |
Pre-Respiratory Therapy | 呼吸療法 | 3 | 1 |
*日本語でのコース名称はすべて「準備コース」を省略しています。UNKでの履修年数は準備(Pre)コースの年数、UNMCの履修年数には臨床研修期間が含まれているものもあります。
他の大学においても、看護学など医学を除く医療系専攻が選択できる大学は数多くあります。詳しくは進学説明会でご相談ください。
※本機構では、すでに医師免許をお持ちの方の学術・研究交流等の斡旋は対応しておりません。また、本文中の理由により日本の大学を卒業された方の米国医学大学院進学については取り扱いができません。どうぞご了承ください。
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