航空会社のパイロットは、多くの学生にとって憧れの職業であり、就職最難関コースのひとつだ。パイロットになるための方法としては、日本の航空大学校を卒業するか、自社養成パイロットの試験に合格して日本の航空会社に入る場合と、外国大の航空学部を卒業してそのまま外国の航空会社に入る場合とが、代表的な選択肢である。アメリカの大学の航空学部への進学は、そのいずれのコースにも対応し、パイロットの夢を実現する可能性を大きく広げる方法なのだ。
まず、日本の航空大学校受験のためには、学部課程での一定単位を取得しなければならないが、アメリカで取得した単位でも差し支えない。アメリカで学ぶことによって得られる圧倒的な英語力は、パイロットをめざす者にとっては最強の武器とも言える。航空大学校の入試科目の中心である英語が絶対的に有利になるばかりではない。雑音まじりの無線交信や、なまりのある外国人とのやりとりなど、条件の良くないコミュニケーションへの対応力は、国際的なキャンパスで生活してこそ得られるものだ。
さらにアメリカの航空学部で実際の操縦訓練を受けていれば、航空大入試3次試験の適性検査にも落ち着いて挑むことができる。国内自社養成コースや、外国航空会社の試験にも有利だ。
NCNの卒業生の中にも、大手航空会社の自社養成パイロットの試験に合格したり、日本の航空大学校に合格して、自分たちの夢を実現させる学生が多く出てきている。
アメリカの大学で操縦訓練を受けるメリットのひとつは経済性だ。トレーニング1時間あたりの費用が日本では通常4〜5万円になるのに対し、アメリカの大学では100ドル(9500円)前後となる(ネブラスカ大学カーニー校の場合。指導料込み)。自家用免許取得に必要な法規上の最低訓練時間40時間だけでも、120〜150万円の差額が出る計算だ。実際の時間数が増えれば増えるほど、その差は大きい。
アメリカの大学のパイロット養成コースは、アメリカ連邦航空局(FAA)のパイロットライセンスを取得するためのトレーニングのプログラムだ。航空理論や法規、シミュレーションなどの地上(教室)授業と5〜7学期にわたる実機操縦訓練によって、自家用から事業用、単発機から多発機、また有視界飛行から計器飛行までの各カテゴリーのライセンスを順次取得し、さらに飛行教官として指導するためのライセンスの取得も可能である。
FAAライセンスのままで、日本の空を飛べるわけではない。学科試験だけで日本のライセンスに書き換えられるのは自家用に限られる。日本の事業用ライセンスは、日本の試験に合わせた再訓練後、実技と学科の試験を受験して取得することになるが、技能はすでに身についているので、比較的短期間で取得できるケースが多い。むしろ、航空無線など学科試験の準備に力を入れた方がいいだろう。
現在世界の航空業界でパイロットの人材不足が問題になっている。1970年代以降、航空輸送が急速に拡大した時期に大量に採用されたパイロットたちが、まとまった数で退職の時期を迎えているのだ。航空需要そのものはこの数年低調だが、パイロット不足が解消されるにはほど遠い。
そんな中で、海外・国内を問わず、これまでにないパイロット養成や募集への動きが出てきた。日本のエアラインも、自社養成と航空大学校だけに頼っていたこれまでの体制ではどうにもならず、国内の大学のパイロット養成コースを支援するなど新たな動きを模索しているが、まだ目立った成果は出ていない。これまで再訓練などが必要だった、海外のライセンスから日本のライセンスへの書き換えのハードルを下げるなど、新たな施策の必要性が取りざたされている。
操縦の腕より、安全に飛ばせることが第一
パイロットへの道である航空操縦学は、大学によって「航空テクノロジー学」という位置づけであったり「航空マネジメント学」の一部であったりする。学科の位置づけによって技術系・ビジネス系と言った比重の違いはあるものの、学ぶ分野の構成の基本は大きく違わない。
学ぶ科目の中心は、もちろんパイロットライセンスに必須の内容である。操縦訓練のほかに、航空理論や法規、機体構造、気象学、安全管理など飛行に直接必要な科目だ。
一方で、情報マネジメント学や組織管理学系の科目も履修科目に加わってくる。これは、情報の整理と的確な判断、複数のクルーによって運航する場合の機長としての統率など、責任ある立場での業務遂行に必要な力をつけることを目的としている。また、テクノロジー学のアプローチでは、微積分学、物理学、空力学など飛行のメカニズムに関する理科系科目も求められる。
事実上の世界標準となるFAA整備士資格
航空機の飛行に際しての機体整備や定期的なメンテナンスに携わる航空整備士を養成するのが航空整備学だ。航空整備士は、整備する航空機が籍をおく国のライセンスを所持していることが求められるため、例えばアメリカの航空会社の機材を整備するためには、日本の空港にもアメリカのライセンスをもつ整備士が必要になる。
整備技術そのものは、職業訓練専門学校でも学べるが、大学で学ぶ意味は大きい。エンジニアとしての技術も高めながら、整備全般の監督や管理を担うための情報管理や組織管理などを合わせて学べるからだ。航空会社でも総合職として採用され、整備部門の責任あるポジションを担うチャンスが与えられる。
パイロットではなく総合職を志すなら
航空業界の経営・業務運営に必要なビジネス面の知識や技能を中心に学ぶのが航空ビジネス学だ。大学によって名称が異なることがあるが、多くは、会計学・金融学・組織管理・人材管理・マーケティングなどの一般的なビジネス面と、航空法、操縦理論、安全管理、空港業務管理などの航空専門要素とを並行して学ぶプログラム構成になっている。パイロットや整備の現場ではなく、航空会社や空港などの組織管理のエキスパートをめざす学生たちのための専攻と言える。
航空宇宙産業への就職実績多数!
航空機の設計・製造、さらに進んでロケットや宇宙船などの開発研究に至るまで、空を飛ぶ技術を学んでいくのが航空工学・航空宇宙工学だ。その技術は陸上や海上・海中でも活用され、様々な業界の期待を集めている。研究規模も予算も大きな学問であり、ボーイング社をはじめ航空産業界との共同研究や、NASA(アメリカ航空宇宙局)の主導する国家プロジェクトへの参画など、アメリカならではの最先端の技術開発を担う大学もある。NCN受入大学でも、アラバマ大学ハンツビル校、オクラホマ州立大学、テキサス州立大学アーリントン校などが、NASAとの共同研究の実績をもつ。また、就職実績でも素晴らしいものを残しており、日米の航空産業、また、研究に共通項の多い自動車メーカーへの就職者が多いのも特徴だ。
全米指折りの航空学の名門は、「セスナ」の地元にある
州内第2の水準を誇る州立総合大学であるカンザス州立大学は、全米でも有数な航空学部を、メインキャンパスから1時間半ほど離れたサライナキャンパスに構える。隣接するサライナの空港には40機もの専用機を大学が保有し、航空操縦学学生の週4〜5回の操縦訓練にも対応可能な陣容で密度の高い操縦訓練を行っている。まるで駐車場で車に乗るように、気がつけば空を飛んでいる感覚だ。
カンザス州は小型機の代名詞であるセスナ社の創業地としても知られ、航空産業の盛んな州だ。
広大なカンザスの空は混雑の度合いが低く、気流の見通しも良好で、訓練環境として絶好だ。学生は肩章のついた制服に身を包み、プロフェッショナルの気概で訓練に臨む。
豊富な機材は、航空整備学の教材でもある。全米でも数少ない航空整備学の学士号課程をもつカンザス州立大学は、安全管理の意識と技術とを高いレベルで備えた整備士を輩出することで評価を受け、整備の管理職につながる学びの場としても人気が高い。
ビジネス系に航空学を設置・経済性が魅力
ネブラスカのトップ州立大グループであるネブラスカ大学は、カーニー分校に航空マネジメントのプログラムを置いており、パイロット養成の航空操縦学と航空サービス学の二つの分野が選択できる。
航空操縦学のプログラムは、カーニー空港と広大なネブラスカの大空をキャンパスにして展開される。視界が開け、混雑も少ない空域で、初歩から落ち着いて訓練に臨める。
いっぽう、航空サービス学は、航空業界のマネジメント職につながるコースとして人気が高い。ビジネス学としても充実したカリキュラムで、幅広いキャリアの展開にも対応している。
ネブラスカ大学カーニー校は、訓練費用を含め、学費や生活費が非常に経済的なのも魅力だ。この経済性は、自家用から事業用・多発機・計器飛行へとライセンスを重ねていくにつれ大きな差になってくる。
関連専攻との両立が魅力
オクラホマ州立大学は、州内第2の州立大学として、NASAとの共同研究など高い実績を誇る航空宇宙工学科をもつ。エンジニアリングからのアプローチで大空をめざす者にとって、あこがれの学びの場になっており、特に航空宇宙工学を専攻しつつ、航空操縦・航空マネジメント学を副専攻とする方法は魅力的だ。
パイロット養成に特化した専攻は、航空管理・操縦学として設置されている。専門性の高い技術分野と、基礎のビジネス分野を組み合わせたカリキュラムが特徴だ。4年間を通じて、自家用・事業用の単発・多発また有視界・計器、さらに教官ライセンスまでカバーしている。フライトトレーニングが行われるフライトセンターは、メインキャンパスからわずか3キロの空港の中にあるので、他学部の科目受講に関心がある学生にも好都合だ。
※ 上記の日程で参加できない場合は、通常の進学説明会にご参加ください。 >> 進学説明会日程一覧
NCN米国大学機構の日本人受入制度は、今年で33年目を迎えるアメリカの大学自身が運営に参加する米国大学進学・留学のためのプログラムです。
これまで名以上がアメリカの大学に進学・留学し、その大多数を占める正規学部生として入学した学生は、95%が卒業し、社会の第一線で活躍しています。