
古澤さん
ネブラスカ大学カーニー校(University of Nebraska at Kearney)
会計学(Accounting)/ファイナンス(Finance)専攻(ダブルメジャー)
アメリカの大学でGPA4.0(満点!)をキープしながら会計事務所での有給インターンにも挑戦し、米国公認会計士(USCPA)を目指している古澤さん。高校時代の海外経験から英語を伸ばしたいという思いで始まった留学は、専攻選び、実践的な学び、そして将来につながるキャリア形成へと確かな道筋を描いています。
本記事では、幼少期の経験から海外進学を決めた背景、アメリカの大学ならではの学び、ストレートAを維持する勉強法、大手会計コンサルでのインターンを見据えた今後の目標、そして後輩へのメッセージまで──“海外で学ぶリアル”を余すことなくお届けします。
海外大学への挑戦:英語との出会いからアメリカ進学へ
英語との出会いと「海外で生きてみたい」という原点
──そもそも海外の大学に行きたいと思ったのはどういうところからですか。
最初のきっかけは6歳の頃、1人で訪れたハワイでした。親戚の都合で他の家庭に預けられることが多く、周囲と英語でコミュニケーションが取れない経験をしたことで、「いろんな国の人と話せるようになりたい」という気持ちが芽生えました。
中学生から英会話に通い、高校も英語留学プログラムのある学校を選び、自然と海外進学への道が開けていきました。
──大学を海外でと決めた決定的な理由は何でしたか。
高校でのオーストラリア留学での成績が「オールA」だったことが大きな転機でした。
日本では突出した科目がなく悩んでいましたが、海外では自分の力が発揮できることに気づき、「もっと英語力も伸ばしたいし、自分の可能性を試したい」と感じてアメリカ進学を決断しました。
──日本とアメリカの教育の違いで印象的なことは?
日本では「質問しに行く」ことが評価に直結することは少ないですが、アメリカではその積極性が評価に直結します。
わからないことはすぐ質問する──その姿勢が成績にも反映され、自分に合った環境だと強く感じた瞬間でした。
──英語以外の準備として努力したことはありますか。
オーストラリア留学で「教室で習う英語は、実際に使うときと少し違う」と感じた経験から、アメリカ留学前はドラマを通して現地の文化・ユーモア・話題を学ぶようにしていました。文化を知っていると会話の幅が広がり、現地の学生とも自然に溶け込めます。
“想像より田舎。でも、それが好きになった”
──実際にアメリカや大学に行ってみて、どんな印象を持ちましたか。
最初の印象は「とにかく広い」。
ネブラスカは都市部ではないため田舎に感じたものの、自然の豊かさが次第に気に入りました。また、すでにオーストラリアで海外生活を経験していたため、アメリカの大学環境にもすんなり適応できました。

会計学との出会いは“思いがけない適性”だった
──当初はパイロット希望だったものの、事情で比較的早期に専攻変更*をされました。どんなプロセスでしたか。
大学のアドバイザーに相談し、興味のある分野を会計学、政治学、ソーシャルワークの3つに絞り、実際に授業を受けて確かめるところから始めました。その中で最も意外だったけれどはまったのが会計学でした。「数字が得意ではない」と思っていたにも関わらず、やってみたら実際思っていたよりも数十倍楽しくて、パズルのように組み立てていく感覚が自分にしっくりきて、「これだ」と思える専攻に出会うことができました。
*アメリカの大学では在学中に学部・専攻分野を比較的自由に変更することができます。
学びの深化:授業で見つけた“楽しさ”と“難しさ”
面白かった授業:ケースで磨くクリティカルシンキング
現在、会計学とファイナンスのダブルメジャー*をしていますが、マネジメント(経営学)の授業では、実際に問題が起こっていた会社の社長とか偉い人になった気分で、あなただったらどうする?みたいな感じの議論をする授業がありました。
*ダブルメジャー:2つの専攻を履修することで、卒業時には2つ学位が授与される。社会的評価が高く、特にビジネス系は専攻間で共通科目も多いため取り組みやすい傾向にある。
──例えばどんなテーマを取り上げていましたか?
例えば大手コーヒーショップチェーンのケースで、この時の経営者の判断は、最善だったかとか、もっと良い策はあったのかというような感じで、もちろん議論が分かれたり、新しい意見が出てくるので、それに対して1時間15分くらいディスカッションを絶えず行う感じで、いつも授業があっても長引いちゃうくらい、結構いろんな意見が飛び交ったので、楽しかったです。
あとは、ある音響機器の会社だったんですが、その会社は最初、スノーボーディングとかアクティブスポーツ系の人たちに向けたヘッドフォンを提供していたものの、他のブランドが有名になっていく一方で、この会社が初期に大切にしていた価値を無視して、流行に乗った方向に進んだために昔からの顧客を失ってしまったというケースで、このときにこの会社はどうするべきだったのか?というディスカッションがありました。盛り上がった一方、中には脱線して自分の話や彼女の話まで行ってしまう人もいて、ちょっと違うなと思う時もありました(笑)
「自分たちの分析が“本物のお金”を動かす」刺激的な経験

他に特に印象深かった授業はファイナンス(金融学)の必修「投資学」の授業です。
単なる座学ではなく、大学が保有する学生ファンドを実際に運用する実践型の内容で、株式分析・評価をチームで行い、投資判断をクラスで発表しました。自分たちの提案が実際のファンド運用に反映されたときは大きな達成感がありました。
学生ファンドの総額は約2,000万円。自分たちの判断が現実の資金を動かす“緊張感”は他では得られない経験です。
──大変だった授業は?
同じ投資学が、実は最も大変な授業でもありました。
そのファンドを実際に扱ってみるのは楽しかったのですが、日々の授業が結構大変でした。教授が完全にオールドスクールで、パワーポイントなし、黒板なし、すべて口頭説明。1時間15分、毎回集中を切らせず聞き続ける必要があり、テスト前にもスタディガイドも練習問題も存在しません。それでも中間・期末ともにクラス最高点を取れたことは大きな自信につながりました。
──試験はどんな感じでしたか?
最初の中間試験はそこまで難しくなくて、全部ちゃんと教科書を勉強したら出て、わかるような感じでした。ファイナルはねじ曲げた感じの質問が多くてちょっと苦労しましたけれど、どちらのテストも一番の成績を取ることができました。
──さすがです。古澤さんはGPA満点のいわゆる"ストレートA"をキープしていますが、そのポイントは?
まず、私が常に心がけていることは、授業では必ず一番前の席に座ることです。とても小さなことのように思えるかもしれませんが、これだけで先生に顔と名前を覚えてもらいやすくなりますし、授業中にわからないことがあったとき、その場ですぐ質問できる距離にいられます。
特に留学生は、最初どうしても後ろの席に座りがちですが、少し勇気を出して前に座るだけで、授業への参加姿勢が変わり、学びの質もぐっと上がると思います。
そして、私が成績を維持できている最大の理由は、一つの強い「心構え」を持っているからです。それは “A が取れなかったら終わり” というくらいの覚悟で取り組むということ。
この考え方に至ったのは、旅行中に出会ったキューバ人男性の影響が大きいです。
彼は今マイアミで成功されている方でしたが、若い頃は貨物船に乗ってキューバから亡命し、アメリカに渡ってきたそうです。アメリカに来てからも生活は決して楽ではなく、喫茶店で働きながら生活費を必死にやりくりしていたと話してくれました。あまりの苦労から「キューバに帰りたい」と思った時期もあったものの、亡命者は母国に戻れないため、彼には“逃げ帰る場所”がありませんでした。
一方、日本の留学生には、夏休みに一時帰国することもできれば、成績がうまくいかなくても日本に戻る選択肢があります。もちろんそれが悪いわけではありませんが、「いざとなれば帰れる」という安心感があることで、なんとなく学生生活を過ごしてしまう人も少なくないと思います。彼は「自分には戻る場所がないからこそ、前に進むしかなかった」と語りました。その姿勢に触れ、私も同じくらいの覚悟で挑めば、どんなことでも頑張れると強く思うようになりました。
課外活動:大学と地域が融合する音楽の場
──課外活動について教えてください。
1年生の頃は大学・地域合同のオーケストラに参加し、コントラバスを演奏していました。
音楽室の鍵が平日だったら常に開いているので、例えばちょっと夕食後に時間があるから音楽していこうって感じで、音楽室に行って個人練習をしたりしてました。地域の人も混ざった学校と地域の合同のオーケストラみたいな感じです。
お菓子とか差し入れて持ってきてくださる方がいらっしゃり、お菓子作りが好きなのでその方にレシピを聞いて、自分で作ってみたりとか、楽しく交流をしていました。
実務経験を積む:会計事務所でのインターン
現在は大学近くの会計事務所で税務処理のインターンとして勤務しています。
主な業務は個人の確定申告書作成、給与報告書作成、専用ソフトへの入力、政府への提出業務などです。実際やってみて大変だなと思ったことは、結構、税務申告処理のソフトウェアが複雑なのと、本当に一人ひとり対応するケースが違って、その度に新しいことを学ぶので、それがちょっと大変でありつつも楽しい側面だと思います。週20時間勤務して、有給(時給約20ドル)でした。
──やはり専門技術が入る分、学内アルバイトよりはだいぶ割がいいですね。
そうですね。国際学生の就労制限*のため学内アルバイトは休止し、インターン終了後の秋学期に再開予定です。
*アメリカの大学では留学生の学外の一般のアルバイトは移民法で禁止されているが、学内アルバイトは週20時間まで可能で、平均時給は11ドル〜13ドル程度。もちろん有給インターンシップも大学公認なのでOK。
進路とキャリア:USCPA取得とアメリカで働く未来へ
「夏はKPMGへ。卒業後はUSCPAを取得して働きたい」
──今後の目標について教えてください。
今年の夏学期にニューヨークのKPMG*でインターンを行う予定なので、それが現在の大きな目標です。
その後は米国公認会計士(USCPA)の勉強を再開し、卒業後の受験に向け準備を進めます。将来的にはアメリカの会計事務所で働くことを第一目標としています。会計って難しそうで、なんか頭痛くなったりする人はいると思うんですけれど、海外の会計や法律とかルールがややこしい中でビジネスをやっている日本の企業に向けて日本語を生かして、サポートしたいです。
*KPMG:世界4大会計事務所(Big4)の一つ。監査・税務・アドバイザリーを手がける国際会計ファームで、アメリカを中心に世界各国へ展開。会計・金融系キャリアを目指す学生にとって人気の高いインターン先。

──USCPAを目指すうえでの単位数とスケジュールは?
現在取得済みの単位は約120単位。卒業に必要な150単位に向けて、今学期15単位、来年の春学期15単位を履修します。
USCPAの勉強は1年ほどかけて準備する先輩が多く、自身も夏のインターン後から学習を本格化する予定です。
USCPA:米国公認会計士資格(U.S. Certified Public Accountant)。アメリカで会計・税務・監査の専門家として働くための国家資格で、一般的な専攻は平均120単位で卒業となるところ、150単位以上の大学履修と4科目試験合格が必要。国際的評価も高い。
アメリカ進学を目指す皆さんへ
──大学進学を検討している皆さんにメッセージをください。
アメリカに来てからは、もちろん英語力もかなり上がったんですけれど、それ以外にも、日本で暮らしていたら出会えなかったような機会に直面することが多く、英語力以外でも人としてのレベルが上がったと感じるので、国際的に活躍できるような人間力を高めたいと考えてる人もアメリカの進学はとてもおすすめです。
あとは金銭的な問題でアメリカ留学を躊躇してる人も多いと思います。私自身もそこまで裕福な家庭ではないんですけれど、アメリカに来て、勉強もこれまで頑張ってきて、インターンシップまでできるようになったので、経済面で困ってる人こそ、頑張ればすぐ成果が出るのがアメリカかな?って自分的には感じているので、一回、死ぬ気でトライするのもとてもいいと思います。
──インターンは日本円にしたら時給3,200円みたいな話ですもんね。
すごいですよね。なんか自分でも、この今まで頑張って学んできたことが、こんなに報酬として来るとは思っていなくて、やっぱりアメリカは頑張った分だけちゃんとしっかり自分に返ってくるなっていうのを、今現在、働きながら銀行のアカウントを見て再確認してます(笑)
なんかもう1週間の給料で、寮の家賃払えちゃうみたいな話で、それで現在はニューヨークのインターンの際の家賃のための資金集めみたいなのもする余裕ができるくらい、ちょっと余裕が出てきて安心してます。
──よかったです。 今日はありがとうございました。
まとめ
オーストラリアでの成功体験をきっかけにアメリカ進学を選び、会計・ファイナンスという専門分野で着実に実績を積み上げてきた古澤さん。
積極的に学び、挑戦し続ける姿勢は、英語力だけでなく、国際社会で生き抜くための判断力や行動力を育ててきました。
「迷っているなら、一度本気で挑戦してほしい」
彼女の言葉は、海外進学に不安を抱える高校生や保護者にとって、大きな勇気を与えてくれるはずです。そして、彼女の大学生活は、ひとつひとつの機会を大切に、高い意識をもって取り組むことで大きな結果につながる証明でもあります。
アメリカの大学には、努力を成果に変えるチャンスがあります。
自分の“居場所”を探し、新しい環境で飛躍したい方は、ぜひ私たちにご相談ください。
(インタビュアー・構成 入学審査室 堀 宏輔)
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